誰のための憲法改正なのか
日本国憲法が施行60周年を向かえた今、安部首相が任期中の憲法改正に強い決意を見せ、国民投票法案が成立しそうな状況になっている。
国民の74%が、日本国憲法の九条が平和に果たした役割を評価し、世論調査においても、九条改正反対派が賛成派を大きく上回っている。
この結果からも、国民が望んでいない方向に動いていることは明らかだ。
私は「憲法とは権力を縛り、国民の権利を守る手立てである。」と学ん時は、目からうろこでした。民主主義の手法によって誰が選ばれ権力を握ろうと、好き勝手に出来ない、歯止めが憲法なのです。
その憲法改正を参院選の争点にするべきものではないと考えます。
5月3日に行われた、かながわ憲法フォーラム「憲法の改悪に抗してー競争・格差社会を考える」で、慶応大学教授の金子勝氏と弁護士でNPO「派遣労働ネットワーク」代表の中野麻美氏の講演を聞きました。
金子氏はテレビでは見られない迫力で、安倍首相の能力のなさをぶち上げていました。
改憲論議の背景には、日米同盟の強化、自衛隊の役割を強化し、米国の世界戦略の中に組み込むためである。これはあくまでブッシュ政権の下であり、今の米国では、日本国憲法改正を望んでいない。改正するならアジアと協調しながらゆっくりと進めるべきという考えになっている。 日本は世界の潮流に逆行し、国際的に孤立している。それを日本のメディアが書かないことが問題だと。
日本は1930年代から、思考停止社会になっている。それを脱するためにも、諦めない、事実を知る努力が、夢の実現の第一歩である。後に次ぐ人達のためにとくくられた。
中野麻美氏は、人権侵害とも言えるような低賃金、長時間労働があり、生存権、幸福追求権が脅かされている現状を話された。
労働者の3人に1人が非正規雇用であり、その内の若者・女性の2人に1人は非正規である。正規雇用であっても、成果物、ノルマを要求され請負と同じで、結果として成果を出すために長時間労働を強いられている。
現代社会が直面しているのはただの「格差」ではなく、深刻な貧困化を伴うものであり、それは極めて不合理な差別を含んでいると。
こんな日本でいいのだろうか。
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コメント
60年前に、GHQが僅か一週間で作った物が今の日本国憲法なわけですが、日本人が日本の法律を作る事がそんなに嫌ですか?
いつまでもアメリカが守ってくれるとお思いですか?
もっとも、いくら何でもそこまでおめでたい人間ではないのでしょうが…。
投稿: Rabenschwarz | 2007年5月 7日 (月) 23時15分
“Rabenschwarz”さん、恐れながら……。
1.憲法と法律は似て非なるものです。(宇都宮さんも少し触れられていらっしゃいますが、他の方のブログもご覧ください。“ブログ”という形態をとっているところに、そもそも問題があるような気もしますが……。)
2.アメリカが守ってくれないことが明確だからこそ、憲法改正後(特に9条)の日本を想像して宇都宮さんは、疑問を呈していらっしゃるのではないでしょうか? 飛行機も戦車もアメリカがプレゼントしてくれるものではありませんものね。とすると……
投稿: 憲法と法律の役割は違います | 2007年5月 8日 (火) 10時54分